Ⅰ 建設業の許可と種類

1.建設業とは

建設業とは、建設工事の完成を請け負う営業を言います。

「建設工事」とは、土木建築に関する工事で、29業種に分かれています。

「請負」とは、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えることを約する契約を言います。

 

※「建設工事」に該当しないもの

保守点検、維持管理、除草、草刈、伐採、除雪、融雪剤散布、測量、墨出し、地質調査、樹木の剪定、庭木の管理、造林、採石、調査目的のボーリング、施肥等の造園管理業務、造船、機械器具製造・修理、機械の賃貸、宅地建物取引、建売住宅の販売、浄化槽清掃、ボイラー洗浄、側溝清掃、コンサルタント、設計、リース、資材の販売、機械・資材の運搬、保守・点検・管理業務等の委託業務、物品販売、清掃、人工出し、解体工事で生じた金属等の売却収入、JVの構成員である場合のそのJVからの下請工事、自社建物の建設

 

2.許可を必要とする者

建設業を営もうとする者は、軽微な建設工事のみを施工しようとするものを除いて、29業種の建設業の種類(業種)ごとに、都道府県知事または国土交通大臣の許可を受けなければなりません。

 

*許可を受けなくてもできる工事(軽微な建設工事)

建築一式工事の場合

次のいずれかに該当する工事

① 1件の請負代金が1500万円未満の工事(税込)

② 請負代金の額に関わらず、木造工事で延べ面積が150㎡未満の工事(主要構造部が木造で、延べ面積の1/2以上を居住の用に供するもの)

建築一式工事以外の

建設工事の場合

1件の請負代金が500万円未満の工事(税込)

※注文者が材料を提供する場合においては、その市場価格又は市場価格及び運送費を当該請負代金の額に加えたものを、請負代金の額とする。

(注)建設業の許可業者が、許可を受けていない業種に係る軽微な建設工事を施工する場合、主任技術者等の配置が必要とされています。

 

○附帯工事について

軽微な建設工事を除き、許可を受けていない業種の建設工事は請負うことはできませんが、許可を受けている本体工事に附帯する工事については、許可を受けていなくても請負うことができます(主任技術者等を配置して自ら施工するか当該業種の建設業許可業者に請け負わせることになります。)。なお、附帯工事とは、以下により判断し、全く関連のない2つ以上の工事は附帯工事には該当しません。

・一連の工事又は一体の工事として施工する他の工事

・本体工事を施工した結果発生した工事又は本体工事を施工するにあたり必要な他の工事

 

3.許可行政庁

建設業の許可は、都道府県知事許可と国土交通大臣許可があります。

・都道府県知事許可:1都道府県内にだけ営業所を持ち、営業しようとする場合

・国土交通大臣許可:2以上の都道府県内に営業所を持ち、営業しようとする場合

 

営業所とは、本店、支店、若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいい、少なくとも次の要件を備えているものをいいます。

① 請負契約の見積り、入札、契約締結等実体的な業務を行っていること

② 事務所等建設業の営業を行うべき場所を有し、電話、机等什器備品を備えていること

③ ①に関する権限を付与されたものが常勤していること

④ 専任技術者が常勤していること

したがって、建設業にはまったく無関係なもの及び単に登記上の本店、単なる事務連絡所、工事事務所、作業所などはこの営業所には該当しません。

なお、常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、営業所に該当します。

※許可を受けた業種については、軽微な工事のみを請け負う場合であっても、当該業種の届出をしている営業所以外での営業はできません。

 

4.許可の区分(一般建設業と特定建設業)

建設業許可は,一般建設業と特定建設業に区分されています。許可を受けようとする業種ごとに一般建設業又は特定建設業の許可を受けなければなりません。特定建設業の許可を受けた場合は,発注者から直接請け負う一件の建設工事につき,下請代金の額が4000 万円以上(建築工事業の場合は6000 万円以上)となる下請契約を締結することができます。

なお,1件の工事をすべて直営施工し,または1件の工事について 4000 万円未満(建築工事業の場合は 6000万円未満)についてのみ下請施工させる限り,一般建設業,特定建設業に関わらず,受注金額に制限はありません。

 

 

【補足】

①材料の提供について

4000万円以上(建築一式工事の場合は6000万円以上)の工事に該当するか否かを判断する際には,元請負人が提供する材料等の価格は含みません。

②下請負人と特定建設業の関係について

一次下請負人が二次下請負人に,4000万円以上(建築一式工事の場合は6000万円以上)の工事を下請施工させる場合には特定建設業の許可は不要であり,一般建設業の許可で足りることとなります。

③許可の区分と請負金額について

発注者から直接請け負う1件の工事の請負金額については,一般建設業であっても,特定建設業であっても制限はなく,一般建設業であっても,工事をすべて直接施工するかあるいは下請への発注額が4000万円(建築一式は6000万円)未満である限り,請負金額に制限はありません。

 

5.許可の有効期間

許可の有効期間は,5年です。

許可のあった日から5年目の許可日に対応する日の前日をもって満了とします。許可の有効期間の末日が日曜日等の行政庁の休日であっても同様の取扱になります。

したがって,引き続き建設業を営もうとする場合には,期間が満了する日の30日前までに,当該許可を受けたときと同様の手続により許可の更新の手続をとらなければなりません。手続を怠れば期間満了とともにその効力を失い,引き続き営業することができなくなります(建設業法施行規則第5条)。

なお,更新の申請は,期間が満了する日の3か月前から受け付けます。

 

建設業の業種

 

建設工事の種類

業種

土木一式工事

土木工事業

建築一式工事

建築工事業

大工工事

大工工事業

左官工事

左官工事業

とび・土工・コンクリート工事

とび・土工工事業

石工事

石工事業

屋根工事

屋根工事業

電気工事

電気工事業

管工事

管工事業

10

タイル・れんが・ブロック工事

タイル・れんが・ブロック工事業

11

鋼構造物工事

鋼構造物工事業

12

鉄筋工事

鉄筋工事業

13

舗装工事

舗装工事業

14

しゅんせつ工事

しゅんせつ工事業

15

板金工事

板金工事業

16

ガラス工事

ガラス工事業

17

塗装工事

塗装工事業

18

防水工事

防水工事業

19

内装仕上工事

内装仕上工事業

20

機械器具設備工事

機械器具設備工事業

21

熱絶縁工事

熱絶縁工事業

22

電気通信工事

電気通信工事業

23

造園工事

造園工事業

24

さく井工事

さく井工事業

25

建具工事

建具工事業

26

水道施設工事

水道施設工事業

27

消防施設工事

消防施設工事業

28

清掃施設工事

清掃施設工事業

29

解体工事

解体工事業

 

建設業許可の知識

Ⅱ 許可の基準
 ・経営業務の管理責任者がいること
 ・専任技術者を営業所ごとに置いていること
 ・請負契約に関して誠実性を有していること
 ・請負契約を履行するに足る財産的基礎又は金銭的信用を有していること
 ・結核要件等に該当しないこと